命と責任と約束

2004年1月24日
今日夜、6時過ぎ頃。
家の前にちょっと大きい犬が居ました。
黒くて、瞳の青い犬でした。
家では犬は飼っていないので他の家の犬です。

はじめ、2階に居た自分は1階が騒がしかったので行きました。
発見したのは妹で、最初は近所の、妹の同級生の犬かと思いました。
なので捕まえて、その子の家に返してやろう計画が立ちました。
しかし妹達は犬が怖いらしく(噛むとか)母も捕まえるのは
無理というので俺が捕まえにいきました。

最初、「おいで〜」と言っていましたがなかなか来なく、
ならばと思い、しゃがんで犬と同じ目線になり呼びました。
するとちゃんと来てくれました。
「怖くないよ、ちゃんと家に連れてくからね」

手を離すとどこだりに行ってしまう。
どうしようと思ったとき、足元でチャリチャリ・・・と音が・・・。
犬の鎖でした。引きちぎってきたんかい!と、思いました。
やっとこさ鎖をとり、その子の家へ。
でも、そのこの家にはちゃんとそのこの犬が居ました。
あれ・・・・・・?
するとそこの家の人がTさんの犬じゃない?と。
Tさん宅へ行きました。すると案の定Tさんの家の犬でした。
が、なんとその大きな犬は放された犬らしく・・・。

「今日は土曜日だから役場は閉まってる。月曜日に連絡するしかないね」
俺はマジ馬鹿なんで、役場に言えば犬は新しい飼い主をもてると思った。
同級生の親にお礼を言って家に帰った。

「役場?じゃあ処分・・・だね」
家に帰り、状況を話すと母はそう言った。
役場に連絡するってことは、保健所に連れてく事と同じだった。
「絶対捨てないからね、大丈夫だよ」
母に、飼おう!っていっても駄目で。マジ何回も何回も言ったんです。

何度も何度もためらいながら、風除室から出し、手から鎖を離しました。
犬は勢い良く家の庭へかけていき、姿を消しました。
真冬の外、しゃがんでいました。
自分がここから居なくなったらあの犬は死ぬんだ。

犬はしばらくしてから戻ってきて顔をなめました。
中途半端な世話はしてはいけない。
そう思ったからいつから食べていないかわからない犬に、
水もご飯も上げることはできませんでした。

母は「アテネ、(家に)入りなさい」と何度も言いました。
母を恨んでいるわけではありません、決して。
でも、返事はしたくありませんでした。
こうして自分が、犬に見えるところにいるのはいけない。
ちょっとずつ中へ進んでいくものの、犬は相変わらず、
元の自分の家には帰ろうとせず、ぐるっと庭を回っては玄関前へ。

とうとう俺は玄関の戸を閉め、犬は見えなくなりました。
「ご飯だよ」
台所の方から聞こえてきますが、あの犬はご飯を食べれません。
ずっとずっと玄関の戸に顔を伏せて、自分の非力さと、
捨ててしまう人間が居る事を悔しく思いました。

どうして自分が働き始めてから現れてくれなかったんだろう。
勝手な思いも、比例して頭に浮かびました。

今、自分は家の中で日記を書いています。
夕飯もちゃんと食べました。
夕飯を作ったのは母で、食べないつもりでしたが、
食べないのは勝手ですが、表に出さなくとも母は悲しみます。

きっと今もこの窓ガラスとカーテンの向こう側で犬もうろうろしてる気がします。

俺が犬を飼う事はできませんでした。
「捨てないからね、大丈夫だよ」
理由はどうあれ、無責任です。犬にもそう思われたかもしれない。
あの犬に手を出したのは紛れも無く自分で、無責任な言葉を放ったのも自分です。

このまま犬を放って置いて生きていける確率は高いとは思いません。
見殺しにしたも同然だと思いました。元の飼い主も、俺も。
もしかしたらもう人を憎んでしまったかもしれません。
今の自立していない自分にできることは、
あの犬が「殺される」というのを防ぐために動く事。

何か自分にできる事。探してみるつもりです。
人間の勝手な判断で、悪くも無い者が仕打ちを受けている。
初めて身近で起き、命と責任について考えました。

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